東大叡智会

数学の大切さまたは塵劫記の話

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2022.4.10

皆さんは「武士の家計簿」という映画を見たことがあるだろうか?歴史学者磯田道史の原作を基に映画化した作品だ。後に磯田氏はこの原作の基となった「金沢藩士猪山家文書」の感動的発見について述べていますが、この映画作品の中に祖母役の草笛光子演じるおばば様が主人公成之に塵劫記を見せながら「あなたの父は5歳でこの問題を解きましたよ。」と鶴亀算の問題を出す有名な場面がある。主人公が父に負けたくないと頑張る画面である。武士にとって戦いこそが武士としての華でありまた立身出世の最大かつ唯一の機会であっただろうが幕末期を経て明治期に入り算術と経済に詳しい者にも日が当たる世の中になったのだ。この話はその様に大きく変化した世の中をそろばんと経済の知識を生かして新しい時代の明治期を生きていく主人公成之の回想である。

塵劫記は江戸時代が始まって間もない1627年吉田光由が著した日常の数学を学ぶ江戸期の最大かつロングセラーであった。子供から大人まで学んだ当時の国民的算術数学の教科書だった。塵劫記は塵劫つまり数え切れないくらいの砂ホコリの意味であり数え切れない物が無くなるまでいやむしろ無くならないから「半ば永遠に読まれる本」位の意味だろう。算数数学が重要なのは現代の受験だけではないのだ。こんな勉強を繰り返してきた日本人には数学の遺伝子が組み込まれているのかもしれない。ユダヤ人の平均知能が高いと言われる理由は国を持たない彼らの先祖が生きて行くために西洋人が嫌う金貸し業を営む為に複雑な複利計算の数学を身に付けて代々先祖が教えたために知能が高くなったためであると説く専門家もいる。算数数学が試験の生命線であることは私達にとって自然なことなのだ。

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