2022.9.6
難関大学理系で入試問題に国語を課しているのは東大京大のみだ。東工大早稲田理工慶応理系学部も入試に国語が含まれてはいない。何故なのか考えてみる必要がある。勿論答えは単純だ。此の2大学の教師たちが国語をきちんと勉強している生徒を必要としているからだ。基礎的教養を重視している点で東大も京大も考えが一致している。決して英語数学理科を軽視しているわけでは勿論ない。国語力に現れる表現力文脈把握力判断力基礎的教養を重視しているのに他ならない。古文漢文でさえ現代国語の力を見るのに必要だ。明治の凝古文を読めば漢字の力がつくのは明白だ。一つの漢字を見てどのくらい想像力が働くのか。これは漢文読解に直結する。また評論文に含まれる位の歴史的視点を含む思想も国語の範囲内と考えているだろう。採点者たちはその国語力の全体が知りたいだろうと思う。またその子の読書歴もみたいに違いない。深く学問をするのにそして大学で国内或いは海外トップクラスの専門家として育てるのに国語を含む基礎的教養は不可欠だ。筆者の主宰する教室でも度々此の基礎的教養を重視して読書を強く勧めている。其の際人文社会自然科学の分野に偏らないよう常に配慮している。進学先を相談された場合読書好きな子は後々成績が大きく伸びる子が多いとご父兄にはお話するようにしている。地方国立や中堅私大から残り2年位で東大京大まで導けた生徒の印象は深い。親御さんにも感謝され筆者も仕事を完結できた喜びに満たされる。
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