東大叡智会

国際卓越大学指定を巡って

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2023.2.4

国際卓越大学についての文科省の発表は以下の通りだ。 「近年、諸外国のトップレベルの研究大学が豊富な資金を背景として研究力を高めているのに対し、我が国の大学は研究論文の質・量ともに低調な状況にあります。その要因の一つとして、諸外国の大学では公的な財政支援や民間企業等との連携、寄附、資産運用など、多様な財源をもとに研究環境を充実させるとともに世界トップクラスの研究人材を招聘し、そうした環境が更に新たな研究人材や民間企業からの投資、寄附を呼び込むといった知的価値創造の好循環が形成されていることが挙げられます。
 我が国においても、大学の機能拡張を推進する中で、大学が国際的な切磋琢磨を通じて研究力を向上させるという緊張感を持ち、世界トップクラスの研究者の獲得はもとより、次代を担う自立した若手研究者を育成し、活躍できるようにするための大胆な資源配分、研究時間を十分に確保するための研究者の負担軽減、大学の有する知的資源の価値化等に取り組んでいくことが求められています。このため、国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれる大学を国際卓越研究大学として認定し、当該大学が作成する国際卓越研究大学研究等体制強化計画に対して、大学ファンドによる助成を実施する」国際卓越大学制度には我が国の科学教育の脆弱化と予算面が海外の有力大学に遠く及ばないことへの危機感が有る。とりわけ理工系医歯薬系の研究者には危機感がつよい。このままでは国際競争力は落ちる一方だという深刻な危機感が有るのだ。要は研究費を捻出する基金がないのだ。少し古い数字だが2014年で言えば米国私大2.0兆円州立大2,2兆円に対し日本国立大学700百億円私大1100億円という埋めがたい大差がある。研究費の多くは理系分野に使われるので、少ない予算で頑張ってきた日本の理系分野の研究者たちは悲鳴を挙げているのだ。此の訴えに対して文科省も重い腰を漸く上げたというべきだろう。政府が科学技術振興機構(JST)に運用させる10兆円規模の大学ファンドの運用益から、年間数百億円ずつを助成するこの制度は大改革だ。東京大学の年間予算が約2800億円で、小規模な国立大学では20~30億円程度なので、大学ファンドからの支援は、日本の大学関連助成において前代未聞の規模だ。どの大学が指定されるのか、すでにその指定を巡って競争が苛烈化している。東大京大や東京科学大(東工大と東京医科歯科大の統合後の名称)は有力だろうが、北大、東北大,名古屋大、大阪大,九州大等の旧帝大は微妙で競争が激しい。私大を入れないと煩い人もいるかもしれない。形だけ早慶を入れるのだろうか?そうすれば研究レベルの高く理系研究を担ってきたという自負がある各旧帝大から不平が出るだろう。地域性も考慮されるのだろうか?難しい問題だ。

 

 

 

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