2023.7.20
深い思考力を育てるには読書しかない。これには誰も異論がないだろう。筆者自身中高生時代には学校の勉強,所謂受験勉強に割く時間は半分、残りは読書と決め本当に色々な本を読んだ。何を読んだらいいかはいくつかの情報源を頼りにした。今と違いネット情報がない時代である。例えば加藤周一「羊のうた」はZ会で紹介してあった。ダンテの「神国」は世界史の教科書で紹介されていた。化学の教科書はファラデーの「ロウソクの科学」を取り上げていた。周りにこの様な本を教えてくれる人はあまりいなかったから尚更アンテナをしっかり張る必要があったのだ。読書に多くの時間を割くことは短期的に見たらあまり受験には得ではないかもしれない。しかし数年単位で見れば大変な効果がある第一に端的に読解力の向上が見込める。第二に知的好奇心が増して勉強に意味を見つけることが出来る。この様な体験談を生徒にはするが、そして実際に生徒用に毎月数十冊の本を購入しているが、笛吹けど踊らず多くの塾生は矢張り本を読まない。(成績優秀な子はアドバイス通り読んでくれる)そこで自称忙しくて本が読めない(読まない)生徒にお勧めなのが駿台の「現代文テーマ頻出課題文集」と「課題文集頻出現代文を読む」だ。前者は新しく,後者は少し前のものだが内容は多少違っている。後者は以前のものなのでより教養主義、古典的的だ。一冊に絞るなら前者だろう。これを読めば現代の人文社会自然科学の主なテーマを一読できる。80題程で現代文のテーマと最低限の教養(大学教師から見ての)が身につくようになっている。筆者の教室ではこの80題の文章の要約分を課題としている。国語力と思考力養成には最適だ。
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