2023.7.21
沖縄科学技術大学院大学(OIST)とワシントン大学による共同研究チームは、、タコと人間の睡眠行動に驚くべき類似性があることが明らかにし科学誌Natureに発表した。動的睡眠段階にあるタコの脳活動や体色模様を詳細に調べ、それらが覚醒時の神経活動や体色模様とよく類似していることを明らかにした。このような睡眠中におこる覚醒状態様の脳活動は、哺乳類のレム睡眠(急速眼球運動を伴う睡眠で、多くの夢はレム睡眠中に起こる。また同時に、睡眠の起源と機能に関する興味深い洞察がある。本研究論文の責任著者である、OIST計算行動神経科学ユニットのサムエル・ライター准教授によると、睡眠という行動はすべての動物が何らかの形で行っているもので、クラゲやミバエのような単純な動物でさえも例外ではないということだ。つまり魚も鳥も眠るのだ。しかし、睡眠に2つの段階があるのは脊椎動物だけであると長年にわたって考えられてきた。即ちレム睡眠とノンレム睡眠である。研究グループはまず、この活動的な睡眠段階にあるタコが本当に眠っているのかどうかを調査するため、物理的な刺激を与えて、反応を調べた。その結果、静的睡眠・動的睡眠どちらの段階でも、覚醒時よりも強い刺激を与えなければ反応がみられないことが確認された。また、タコの睡眠を妨げたり、動的睡眠段階の途中で睡眠を中断させたりすると、その後に動的睡眠段階に入るタイミングが早まり、頻度も増すことが明らかになりました。研究では、タコはほぼ1時間に1回、1分程度の動的睡眠段階に入ることが確認された。このとき、タコの脳活動では、人間のレム睡眠と同様に、覚醒時の脳活動と非常によく似ていた。 つまりタコは眠り夢を見る動物であることがわかったのだ。
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