2023.8.22
2023年夏の高校野球甲子園大会は目下佳境だ。今大会で大活躍している神奈川代表慶応高校は高校野球の「真っ黒日焼け,坊主頭,長時間練習」という高校野球のステレオタイプをを変えつつある。慶応高校監督の森林貴彦氏はその考えを著書『Thinking Baseball ――慶應義塾高校が目指す"野球を通じて引き出す価値"』(東洋館出版社、2020年10月発行)の中で述べている。長時間拘束練習でなく自分で考えた個人練習、髪型に拘らない。本人のやる気を見る。また理想はノーサインの野球とも述べている。局面毎に自分でどうすべきかを考えて動く、監督が万能でない高校野球、これは海外では当たり前かもしれないが、戦術が高度に発達しレベルも高い日本の高校野球では中々に難しいだろう。一人ひとりが個性的でいる事はある意味日本の文化ではないからだ。しかし少子化時代には集団戦法はもう通用しないのだ。学童野球は10年頃から、その上の中学野球は13年頃、高校野球は15年頃から競技人口が少子化よりも早いスピードで減ってきている。神奈川県では、もともと2千くらいあった学童野球チームがここ15年で600くらいに激減しているとの事だ。この状況は全国でも勿論同じだ。沢山の選手がいて其の中からたまたま良い選手が育てばいいかという時代はとっくに過ぎたのだ。良い選手は大事に怪我をしないように育てねばならないし、中学で無名でも高校大学で伸びる選手を見つけて伸ばしてやらねばならない。森林監督の様な高い見識を持った指導者が大勢を占めるようにならねば少子化時代の日本スポーツに未来はないだろう。
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