映画オッペンハイマー

2023.8.28

米国映画「Oppenheimer（オッペンハイマー）」（ユニバーサルピクチャーズ。クリストファー。ノーラン監督）は米国で2023年7月21日に全米公開され目下大ヒット中だ。世界初の原子爆弾を開発し、「原爆の父」として知られるユダヤ系理論物理学者オッペンハイマーの生涯を描いた作品だ。日本は唯一の被爆国であるせいか、現在公開が未定であり、公開されても、されなくとも色々な議論があると思う。映画の中ではオッペンハイマーの光と共に影の部分も描かれる。成功した（理論物理学の広範な領域にわたって大きな業績を上げた、実はブラックホールの先駆的研究は彼の大きな功績だ。）科学者としての彼と、後年平和主義に転じ米国政府から受けた圧力に苦しむ彼の影の部分だ。彼は戦後原爆の使用に関して「科学者（物理学者）は罪を知った」との言葉を残し彼自身を世界の破壊者と断じた。戦後、米国の水素爆弾の開発に反対したために、所謂レッド・パージ（赤狩り）にあい、冷遇され名誉も失った。彼の名誉が正式に米国政府から回復されたのは随分後だ。映画では此の影の部分と彼の苦悩が丁寧に描かれている。色々な経緯があるにせ映画関係者のご尽力で此の映画が公開されて平和を考える足掛かりが与えられると良いなと考えるのは筆者だけではないだろう。