2024.1.10
筆者の教室では英語のListeingに力を入れている。読む英語だけでは英文に接する時間と分量が不足するからだ。その昔大学に入学した時にESSというサークルに誘われたのだが、このサークルは日本人同士英語で話す練習をするものであった。言葉は道具だ。日本人同士話すのなら日本語が便利だろうと思う私は些か偏屈だったかもしれない。しかし英語ができる日本人が一人いて、そこに日本語を解しない米国人が加わり、筆者と三人で会話があれば自然と英語を話すのは当たり前である。なぜなら英語がその三人に共通する唯一の言語だからだ。英語を使おうと思えばまず相手が何を話しているかを理解するのが第一歩だ。native speakerを相手に会話して、自分の方がより多く話す状況は少ない。筆者の教室では、筆者自身で一定の分量の英文を読む速さを変えて二回ほど読んで、その後英語で生徒に質問をし、英語で答えさせる様にしている。これは些か応用の段階だ。第一歩は中学レベルの単語500語程の聞き取りだ。この教室に入るまで、bigはビッグと日本語風に発音することに慣れてしまっている子は多い。その子達は総じて、big, beg ,bagの聞き分けが出来ない。[i]は日本語の[イ]では決してない。この例のように多くの単語において母音の発音が出来ていないために、文章にの聞き取りが出来ないのだ。このことは中学レベルの基本単語の聞き取りが出来ないという事だ。ここを通過すれば、次はreduction音の連続の練習だ。make it out は決してメイク、イット、アウトでは100%ない。敢えてカタカナにすれば、メイキッアウの方が近い。check it upは同様にチェキッアッだ。音の連続は一つの単語のようにまとめて記憶したい。[l][r]の違いは少し難しいかもしれないが、慣れれば殆どの生徒は出来るようになり、リスニングに自信を得る。応用で言えば文章を全体で聞く場合、単語一つ一つを聞こうとする人はリスニングが進歩しない。人の頭脳はそういう作りになっていない。文章のイントネーションを聞き分け重要な事とそうでない語の取捨選択を練習するのがリスニングの授業だ。およそ一つの文章で3語くらい分かれば、大体の意味は何となく分かるのが英語の特徴だ。リスニングは指導者の力量が試される場でもある。
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