2024.2.19
日本の高校野球で活躍した花巻東高校の佐々木麟太郎くんが米国スタンフォード大学への進学を決めた事が大きな話題となっている。筆者の見解は以下の通りだ。
①大きな話題となること自体が極めて日本的な現象であり筆者には不思議である。一体野球陸上バスケット等々で米国を進学先に選んだら、何かしら不都合が有るのだろうか?野球の本場は日本ではない。野球は米国発祥のスポーツであり、米国スポーツのプライドであり、他のスポーツとは一線を画している。確かに米国ではスポーツとしての人気は遠くアメリカンフットボールに及ばないし、バスケットにも劣るだろう。だが同時にMajor leaguer達の地位は他のスポーツより遥かに高い。ア・リーグとナリーグの国内リーグの闘いをワールドシリーズ(世界一を懸けた戦い)と称している位だ。World Seriesに勝てば大統領官邸へ招待されるのだ。
②米国では将来有望な運動選手で勉学の意欲高い選手には、奨学金が出る。その際語学力は確かに重要だが全てではない。佐々木君の意欲将来性を見込んでのスタンフォード大の先行投資と考えてよい。大学は将来その地位を高めてくれる様な選手に投資する。
③米国の大学は文武両道である。成績が一定水準を割り込めば、どんなに名選手であっても、運動部の活動停止、場合により退学となる。その場合奨学金は当然取り消しとなり、即時に返金義務が生じる。彼がそうしたいと思い、わざわざ行くということは多少の自信が有ってのこと事だろう。
④何より米国に留学を決めたのはおそらく日本の大学野球部では、将来の彼が思い描く未来が開けないと思ったからだろう。それは野球自体そして勉学両面に於いてだと思われる。
⑤彼の留学を語学習得の為だと言い切る人も不思議だ。英語は米国に行かずとも国内で十分に学ぶことが出来る。国内で英語が学べないと思う人達は江戸時代にでも生きている感覚なのだろうか?現代日本人はジョン万次郎ではない。佐々木君は米国に英語を学びに行くのではない。米国の正式な課程に入り将来専攻する課程の卒業を目指すだろう。
⑥彼は恐らく米国が最先端なスポーツマネージメント(球団経営等)やスポーツ科学に興味があるのだろう。これらは未だ日本が米国の大学のダイナミズムに及ばない分野である。
⑦今の日本は極めて内向きになった国だ。国際化と完全に逆行している。とりわけ若者の内向けは極まっている。留学生の数は年々減少している。その原因は勿論経済の停滞=大人の怠慢かつ政治の怠慢だ。
⑧米国の大学をきちんと卒業できたら、野球が万が一駄目でも将来が大きく開けると思う。筆者の子供が野球選手だとしても同じことを強く勧める。佐々木君のお父さんは教育者なので、父親の勧めもあったのではないだろうか。
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