東大叡智会

こんな大人にならないでください

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2024.4.3

下書き準備中の原稿を置いて緊急に書きたいことが浮上したので、先に話したいと思う。毎年4月1日は会計年度の初日なので色々な事業所,役所等で新しく採用された新職員向けの行事が行われる。中にはタレントが出てくるイベント風な物も有れば、昔ながらの堅苦しい話(いささか退屈な?)に終始するものもあるだろう。若者にとっていよいよ社会人となった自覚が生まれる日でもある。2024年4月1日静岡県の川勝知事は新職員向けの訓示で以下のように述べた。

「県庁はシンクタンク(政策研究機関)だ。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち。それを磨く必要がある」などと述べた。特定の職業を比較するような発言をした。

また別の席では「御殿場市はコシヒカリしかないところだ。」と知事でありながら特定の地域を貶める(おとしめる)発言をしている。この件でボーナスと給与を返上すると約束したがちゃっかり頂いている。まさに言動不一致の人である。

本日4月3日午後に釈明記者会見を行ったが、其の席では冒頭の差別発言を謝る話ではなく、ご自分のリニアモーター建設反対の持論が大半で、不快なあまりテレビを途中で消した方も多いだろう。

ここではこんなダメ大人の話が中心ではない。私が問題にしたいのは、彼の大きな誤解である。野菜を売ったり作ったり牛の世話をしたり、モノを作ったりするのは、本当は大変に頭を使う仕事である。自然相手の仕事は、毎日の天気を考えながら大変に頭脳を使う仕事である。毎日同じマニュアルで事なきを得る事務職とは全く違っている。モノつくりは売れなければ赤字になるし安易に壊れても赤字になる、工夫して常に新しいものに挑まなければならない。まさに知事の発言と逆である。

八代将軍徳川吉宗は型にはまった朱子学を嫌った。幼児期に農家で育った彼は自然や自然に関する実学を好んで、洋学書を解禁した。これが日本における実学=自然科学への信頼尊敬心を育み、ひいては明治以降の産業の振興に繋がったと筆者は考えている。其の国の若者に自然に対する関心やモノつくりの関する興味がなくなれば、其の国は存亡の危機である。別の言葉では「理系離れ」とも言う。

朱子学=官僚の空虚な理論と考えてよい。頭を使っているのは農業やモノつくりの人たちである。自然相手や素材相手のモノつくりはマニュアルがない。韓国が江戸以降の近代において大きく発展が遅れたのは、「実学への尊敬心」「モノつくりを重視しなかった」事に尽きるだろう。韓国の貴族層は体や頭を使って何かをすることを軽蔑した。何もしないことが貴族の誇りであった。すなわち韓国における両班(ヤンバン、韓国の貴族層)の悪行である。川勝知事はまさに現代版日本の両班だ。京都出身の川勝知事は貴族の末裔気取りなのだろうか。

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