2024.5.16
俗に「料理のうまい女は頭が良い。」は俗説だろうか?否今日ではこの言葉は差別用語と取られるかもしれない。言い換えよう。「料理の上手い人は頭が良い。」筆者はまさに下手の横好き、東京に出て予備校通いを始めてから生活のために(節約のために)料理を始めた。いや始めざるを得なかったというべきだろう。最初に見様見真似で、とんかつを作ってみた。揚げ物は油に入れたら何とかなるだろうという単純な考えからだ。それだけではいかにも栄養のバランスが悪くなるので、キャベツの千切りに挑戦した。次に味噌汁を添えたりした。ご飯を炊いて定食風ではある。味の良し悪しはわからない。あくまでもお一人様自分用であった。
ここで思い出すのは料理研究家小林カツ代である。昔『料理の鉄人』(りょうりのてつじん)(1993年10月10日から1999年9月24日まで放映)という番組があったのだが、おそらくこの番組の中で、料理の鉄人を破った唯一の家庭料理の人である。鉄人達はそれぞれ中華、フレンチ、和食の高級料理、創作料理の世界的大家であった。そこへすでにその当時は料理家で知られていたとはいえ、普通の主婦出身の小林カツ代は異色中の異色の挑戦者であった。なんと中華の鉄人「陳建一」に勝利してしまう。ちなみにテーマ食材は「じゃがいも」であった。彼女は家族のために美味しい料理が作りたいと願う普通の主婦であった。一説によれば最初はひどい料理下手であった。蓋し「料理は化学であり、また科学である」は名言だろう。彼女はまた平和を愛し、平和運動に対して積極的に発言した。ただ残念だったのは頼まれた仕事は基本断れない性格で多忙を極め、70代半ばで亡くなったことだ。天はこの類まれな天才に長命を与えなかったのだ。
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