2024.8.27
全国版のどこにでも掲載された偏差値は上位校の数字が似通っている。各県のトップ校はおよそ70-75と表示される。数字的に上位校同士の差がつきにくい形のものだ。それに対して駿台予備校版は上位校同士の差がはっきりと出る形である。もう一つはその地域、その県で一番高であるか,二番高であるかの違いだ。同じ偏差値、例えば偏差値69の高知県土佐高校は県下の一番高だ。他の地域に生徒が流失しないことを前提に考えれば偏差値75の生徒も土佐高校に進学するだろう。同様に静岡高校も静岡県東地区の一番高校なので、偏差値75以上の生徒もここに進学する。その層は大学入試の時東大、京大、国公立医学部に進学する生徒たちの中核となるわけだ。それに対して埼玉県の例をとれば、県下の一番高は浦和高校だ。春日部地区は春日部高校が一番手だが、交通網の発達した首都圏では、一番手高に偏差値75前後の生徒が集中しやすい。埼玉のような広域学区制度の場合生徒の流動性は高い。地域二番手高は東大京大、医学部の進学者が少なくなる構造がここにある。しかしそれらの高校の多くの生徒が進学するいわゆるボリユームゾーンは重複するので、結果的にどちらからも早慶をはじめとする大学へは数の違いはあれ、進学可能だ。この例を突き詰めれば、交通が不便な地域では、たとえ偏差値が60或いはそれ以下でも、超難関大学に少数ながら毎年確実に進んでいく生徒がいる構造もあるのだ。山梨県の吉田高校はこの例だ。偏差値は59-64の間あので難関高校ではないが、毎年数名の東大や医学部に合格者を出している。交通の便の影響や、その高校が地域に占める信用度の関係もある。吉田高校はその地域で信頼を得ているのだろう。狭い地域だが地域一番高と言って容易だろう。以上のように必ずしも高校偏差値と進学先は正比例しないということは確かだ。地方の高校の進学実績を作っているのは、他の地域に流失しない、或いは諸事情で出来ない生徒を抱える中程度の偏差値の地域一番高は入学してお得な高校だ。次回は偏差値別の大学進学ボリユームゾーンを詳しく書いてみたい。
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