2024.10.29
読者の高校選びの基準は何処にあるだろうか?大抵の生徒や保護者の視点はまず偏差値=難易度だろう。下にも書くが偏差値は注意が必要だ。
以下幾つかに分けて述べてみた。参考にして頂ければ幸いだ。
①通学距離 意外に大事である。通学に往復2時間かかればほぼ部活動は不可能だろう。週に1-2回の運動部でない活動は可能だろうが。学校への通学時間が長いことはそれだけで肉体的、精神的な負担が重い。いつも時間に追われている感覚は勉強への集中力の妨げでしかない。勿論偏差値が70超えの優秀な生徒が近くの50の学校で満足できないと言うのは当然だろうが。偏差値60の中上位高と普通科に特進コース55の学校が近くにある場合は十分考慮に値する。
②費用 私立高校への授業料援助は積極的に使うべきである。
③部活重視の場合 通学距離を考えることまたスポーツ系部活なら練習量、指導者の有無、質、他の生徒との技術的なバランスが大事だ。特に文武両道の生徒の場合、学校選びは本当に難しい。他のブログに文武両道の学校を列挙したので参考にして頂きたい。
④校風 例えば麻布高校と鹿児島ラ・サールでは同じ普通科高校とは思えない位校風が違う。筑駒は授業が全く違うやり方だ。よく調べないと勉強方法が生徒に合わないと言うこともありうるのだ。学校で入試対策が完結する学校と塾予備校通いが前提の学校があるということは知っておくべきだ。
⑤進学実績 現役合格率はあまり気にしない事が大事だ。学校が地域の国公立中心の指導をすれば、当然現役合格率は高くなる。浦和高校や日比谷高校は必ずしも現役合格率は高くない。だからといってこれらの学校の指導が悪いわけでは全くない。生徒に上位大学へのチャレンジ精神が旺盛で学校がそれを尊重しているだけのことだ。地方の自称進学校の現役合格率はチャレンジ受験をさせないので現役合格率が高いというだけのことである。
⑥始業時間 終業時間 朝何時に授業が始まり、何時に終わるかは皆さんが思われているより大事だ。やたらとホームルームの時間が長かったり、終業時間が17時だったりすれば夜型生活になりやすい。米国系インタナショナルスクールは朝が早めだが,終業が15時くらいで早い。ホームルームも簡潔で時間の使い方が上手い。文武両道で有名な静岡高校や土佐高校も時間割の作り方が合理的だ。
⑦偏差値は変動しやすい 偏差値は入試の倍率の影響を非常に受けやすい。偏差値の数字は決して固定ではないのだ。勿論最上位の筑駒や灘が突然偏差値50になったりはしないが倍率がほんの0,1-0,2動けば偏差値もいくつか上下する。その年毎の志望校の動向を把握することは非常に大事だ。塾、予備校に通う場合、情報量と経験が豊富な教師がいる教室を選ぶか身近で経験値が高い方を頼るかだろう。
⑧教師の質 その学校の案内をよく読めば意外にわかるものだ。桜蔭中学は入試要項の最初に国語科が書いてある。国語力養成に力を入れているということだろう。概してだが日本の数学、理科の教師の質は全体的に高い。数学は大抵の場合、中堅校なら学力でクラス分けしてあるので、上位クラスなら先生が大外れということは起きにくい。逆に日本の中高の英語の教師の質は、正直に言わせてもらえば低い。筆者は10カ国以上の国の中高の英語授業を見学したが、英語が通じない、普通の英字新聞が読めない教師には会ったことがない。国語教育に力を注いでいる学校は良い学校が多い。
⑨授業進度 一般に中高一貫校は一年間前倒し授業をしている。中1の後半には中2の学習が始まり、高2で大学受験の授業範囲が終わるようになっている。別の項目で書く予定だが、最近は高校だけの進学校でも半年前倒しが多くなっている。反面偏差値60未満の高校はギリギリまで数学が終わらなかったり、理科が終わらないこともある。理科の科目間の進度の違いがあったり、数学は遅いが理科が早かったり、その逆もある。一般のご家庭でそこまで調べるのが難しければ、学校訪問の折に来てみるのが良いだろう。
© 2021 東大叡智会.