2024.11.16
先の米国大統領選挙に於いて、ドナルド、トランプ氏は勝利し2025年1月に第47代米国大統領に就任する。大統領返り咲き極めて珍しい。既に多くのマスメディアに於いて、どの様な形で私達日本人または地球上に暮らす人に影響があるか分析されているが、筆者の考えをまとめてみた。
① 最大の特徴は私達が生きてきて、多くの人が常識として捉えていることが通用しない事が確実に増える点だ。(地球温暖化や民主主義の問題)その中には過大に言われていることもあれば、逆に現実味を帯びていることもあるだろう。過大な事は例えば、在日米軍の費用負担を3倍にということである。これは前回米国官僚の必死の抵抗で食い止められた。彼にとって日本はアジア最良のパートナーでなく単なる米国に損害を与える貿易上のライバルだろう。
② トランプ氏がマスメデイアの多くを認めていない点。自身で発言する話が全て正しいという主張である。本人がマスコミを認めていないので議論はかみ合わない。マスコミの政治をチエックする機能の低下が心配である。
③ 前回の大統領期間(2016-2020年)に、パリ協定から脱却した通り、彼は地球温暖化を全く信じていない。如何なる関心も無いだろう。如何に論理的に説明しようが,はなから聞く耳持たない人に話は全く通じないだろう。今後4年間は地球温暖化対策は確実に遅れるのは間違いない。
④ 海外から米国への輸出品に多額の関税を課すだろう。貿易は冷え込むが、米国の雇用は一時的に回復する。
⑤世界各地で第二、第三のトランプ政権が生まれるだろう。政治家のモラルは地に落ち、所謂ポピュリストが多く生まれる。ギリシャ、ローマの盛衰の如くである。長期的見通しがない短絡的な政策が行われ、我々が築き上げた諸々のものが徐々に失われて行くだろう。文明の衰退である。
⑥最大の問題は米国大統領の手に核兵器のボタンが有るという点だ。前回は確か米軍の良識派が大統ってもボタンを押すことを拒否するという人がいたような気がする。否そうあって欲しいものだ。
⑦独裁国ロシア、中国、北朝鮮が一気に元気になるだろう。ウクライナの人達は悲惨な運命を辿る可能性がある。逆に欧州の民主主義国は米国に失望し始めるだろう。日本と欧州の繋がりは強くなる。
⑧心配なのは、台湾、尖閣諸島だろう。中国が攻勢に出る可能性が格段に高くなった。尖閣に中国の基地が出来る事態は何としても避けたい。
⑨4年後にトランプ氏を支持した日本の言論人は信用を失い、非難されるだろう。彼の下日本だけがいい目を見るという様な楽観論は根拠がない。多少あるとすれば米国の優秀な政治家、官僚、実業人の良識である。
⑩既に米国ではトランプの米国を嫌う人たちが、カナダへ10数倍、ニュージーランドへ20倍、オーストラリアへ9倍と移民希望者が激増している。しかし庶民は逃げ出せない。
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