2025.1.7
東大理科3類は東大医学部へ入る最も確実なコースである。中には理科3類=医学部医学科という誤解をしている方もいるだろう。東大医学部には他に健康総合科学科(旧保健学科)というのがあり、こちらは4年制であり、主に理科2類から進学し、健康科学を学び看護師等の資格を得ることが出来るが、以前はここを出てから他の大学医学部を再受験したり、医学部へ編入したりする学生が多かった。ここに書くのは理科3類の合格者がどの高校が多いかという議論ではない。そもそも上位は大体不動のメンバーである。毎年多くの合格者を出すのは、筑波大付属駒場 桜蔭 灘 開成等であり、これ以外の高校は数人かまたは0人の年もある位だ。ここで議論したいのは公立(主に地方の県立高校だが)から理科3類に合格した人たちだ。この4校は生徒の中学入学試験の難易度が高く、合格した生徒の資質がとんでもなく高いのだ。筆者の友人で,自称筑駒のビリを自称する子がいたが,一浪して東大理科2類に合格、立派な研究者に成った位である。高校で沢山の言語をマスターした友人もいたことを覚えている。日本中の秀才中の秀才がこれらのいくつかの高校に集まっていると考えて良いだろう。こういう英才を集めて、1-2年前倒しで授業をすれば自ずから東大最難関合格は見えてくるものだ。
その中で主に地方の県立高校から理科3類に合格してくる猛者はどういう人達なのか興味は尽きない。以下が筆者が考えるそういう人たちが存在する理由である。
①小学校の時点で、地頭が極めて優秀であったが、本人または家族が中学受験に無関心であったか、そこに意味を見出さなかったか、或いは習い事や、趣味に夢中であったかだろう。
②地頭の良さを本人または家族が認識していなかった場合も考えられる。時々筆者の教室にも昔はこのタイプがいたものだ。今ほど中学受験ブームでなかった頃はこういう生徒に出会えるのは無上の喜びであった。
③小学校、中学校までに資質が開花しなかった場合も考えられる。このタイプも多くはないが確実に存在する。高校に入ってから身長が伸びる子に似ている。余談だが確かテニスの松岡修造氏は中学3年までは身長160cm台前半であったが、高校で25cm以上伸びたそうだ。勉強にもこの「遅咲き」タイプは確実に存在する。
東大合格上位校約10名位を目処にすれば以下の高校は理科3類に近年合格者を出していない。埼玉 浦和 東京 日比谷 神奈川 横浜翠嵐
湘南 大阪 北野 愛知 旭が丘 福岡 修猷館 これらの多く東大に合格者を出す高校でも理科3類は合格者がなかなか出ないのだ。これらの高校は全体に都会地域なので、近くに(修猷館は附設とラ・サールで近くはないが)中高一貫校が存在し、中学の時点ですでに理3合格予備軍はそこに入学しているのだ。この層はそこまで中学受験を大変だとは思わないゆとりの難関中学上位合格層でもある。
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