2025.5.1
今年の入試戦線の大きなニュースとして岡山県のトップ高校である岡山朝日高校の募集定員割れが報じられたのを見たり聞いたりした方は多いであろう。人口減少地域、過疎化地域では地元高校の定員を減らしたりすることは従来普通に行われてきた。高校の募集停止、廃校は小中学校ほど頻繁ではないが、急速に人口減少が進んでいる日本では格別に珍しいことでは無いのかもしれない。経営難で廃校や統合に至る高校も珍しくないだろう。ただ岡山朝日高校は岡山県の公立トップ高であり、全国的にも進学校として知られている、直近3年で東大に合計20名以上、京大15名ほど 医学部にも毎年20-30名の合格者を毎年出している岡山県を代表する公立進学校である。江戸時代の岡山藩の藩校が起源の歴史ある名門校であり岡山県民の誇りとする学校である。その名門高校で史上初の定員割れが起きてしまった。考えられる原因はいくつかある。
①少子化 まず考えられる原因は少子化である。確かに子供の数は減っているが、岡山県よりもっと過疎化や少子化が進んでいる県は少なくない。これが最大の要因とは考えにくい。例として過疎化の進んだ高知県で言えば、トップ校の土佐高校意外は全て定員割れである。しかし公立は定員割れはしていない。
②対抗する高校の人気 岡山の私立高校は医学部進学に力を入れたり、中学段階から早く大学受験に力を入れたりしている。いかに県を代表する歴史ある名門であっても、今後はその地位に甘んじて魅力ある高校作りをしなければ生徒集めが難しくなるくらい少子化が深刻化してきたのである。
③私立高校の無償化に伴い、中学3年間だけ授業料を支払うことになった保護者の精神的負担減は確実に中高一貫校が栄える要因になっている。公立を受験しない、公立に入らないという選択肢はもはや当たり前なのかもしれない。
これからは歴史ある名門校と言えども、定員割れは容易に起こり得るし。既に私達はそういう時代に生きているのである。
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