2025.5.10
沖縄に家族で移住してくる時に、筆者自身が最も気にしたのはハブに噛まれないかという事であった。しかも日常的に。何かでハブは石垣の穴に住んでいるので、石垣の近くでは注意すべきと書いてあったので、移住から暫くの間は歩道が狭くて左右に石垣があるところは一旦車道の端を歩いていた位である。今思えば一種の偏見で、日常的に沖縄県民はハブに噛まれているのではないかと考えていたのだ。そこでハブに関する論文を事前にかなり読み込んだ。ハブのいないと思われる島に住む事も考えたが、仕事や諸般の事情でそれは無理な話であった。確かにハブの個体群は那覇市新都心公園の様な都市型公園の中にも存在しているらしい。しかしハブの目撃数や咬傷数は近年確実に減っているようだ。沖縄県全体で年間約2万件ハブが目撃されている。近年ハブに因る咬傷数が100前後で推移している事を考えると、ハブに200回遭遇すれば一回噛まれる計算となる。しかし目撃することは無いかと言えば確実にある。筆者は公園で家族の後ろ数メートルにハブが管から出てくるところを見た経験がある。また家族が自宅からから出て数メートルでハブを2回目撃している。住んでいるところが田舎なので、ハブがいても自然なことではあるのだ。自然豊かな所に住む事が出来る恩恵を被っているのだから、目撃位は致し方ないかとは思う。しかし噛まれたくはない。近年沖縄ではハブも沖縄の文化であるという考えが普通に成りつつある。必ずしも今すぐに絶滅させようという訳ではない。いわばハブ文化の熟成ともいうべき考えかもしれない。
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