2025.6.2
中国の大学入試「高考」は世界最大規模で行われる入学試験である。正式名称は「普通高等学校招生全国統一 考試」通称が「高考」である。毎年6月初旬に試験は行われる。受験者数は1335万人(2025年度)という日本では考えられない数である。中国は意外に文治主義、貴族文化の伝統が強い。武家文化の日本とは大きく異なっている。そもそも千年近く続いた「科挙」の国である。試験に命を賭けるくらいはある意味伝統行事位の感じであろう。中国では日本の様な「文武両道」や何かお稽古ごとと両立しながら難関大学を目指すという思考は存在しない。入試自体がレベルが高く人口比で難関大学である北京大学、精華大学、日本の旧帝に当たる各地の「重点大学」の数が少ない。競争は苛烈であり日本の比ではない。食事や最低限の生活上必要な行為意外はすべて勉強である。それもかなり早い年齢から。
そこで家計的に少し余裕がある家庭は日本の大学に「留学」ということになる。日本の留学という名前の短期間のアメリカ語学研修等ではない。日本の大学に入学し、日本人と同じ枠で東大、京大、医学部、早慶等を目指す本格的(変な言葉だが)留学である。彼らは受験生として遥かに日本の受験生より、精神的に強い。競争社会の申し子である。少子化が進み、レベルの下がった今の日本の大学入試とは比べ物にならない。
毎年中国の知を極めたカンニングとそれを阻止しようとする当局の戦いは漫画レベルである。そこでは一生がかかっているので、あらゆる悪知恵が働く。これが最近日本へ持ち込まれつつあるのが、問題である。写真に細工する「替え玉」、これは代理人受験である。これを公然と宣伝している中国語のサイトが存在しているらしい。早慶合格には高い値段がつくらしい。学校側が知らない間に不正が行われている。愚息が通っている学校でも放課後の迎えに行くと、保護者の声で一番多く、声が大きいのが中国人の集団である。受験が正当に行われる限り、民族的な背景で差別は禁物である。日本の受験生に頑張ってもらうしかない。
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