2025.9.17
皆さんは偏差値だけを頼りに志望校や受験校を決めていないだろうか?勿論第一義的にはまずは学力に見合った学校,即ち受かる可能性がある学校であるから、この選択は間違ってはいない。しかし何校か受験したり、同じレベルの学校から選ぶ場合、その選択には不確定な要素が入ってします。ここでは筆者の長い塾教師としての経験から幾つかの注意すべき点を述べてみよう。
① まずは部活動や学習時間の時間確保、睡眠時間確保の為に通学時間は思っているより大事である。90分かけて通う偏差値60の学校より、30分程度で通える偏差値50、特進科57なら躊躇なく後者であろう。
② 進学実績で選ぶ場合、医学部何名と書いてあれば、医学部の医学科でなければならない。医学部保健学科を医学部表示で書いてある学校は多い。こういう学校は信頼に値しない。進学実績は最上位東大京大医学科何名ではなく、偏差値が低い学校への合格者で見るべきである。勿論上位校の合格者が伸びていれば、申し分ないがしばしばより下位校への進学者が増えても、上手に紙面上進学実績を操作している学校は確実に存在する。
③ 社会でどの位の卒業生が活躍しているか、どの位の先輩がどの程度の地位にあり、活躍しているかは重要である。高校の先輩後輩の繋がりは一生ついて廻ることだ。
④ ③にも共通するが、学校の歴史がどの位なのかは相当重要である。およそ80年位は歴史がほしいと思う。沖繩の私立で言えば殆どが新設校という事が出来よう。新設校は経営基盤が安定していないので、部活動の大会参加費用が全額自己負担であったり、何か項目を付けて学校に支払うお金が高くなることが多い。
⑤ 新設校や家族経営の私立にはいわゆるお家騒動がしばしば起きる。学校の経営方針や生徒の指導方針を巡って、2つ乃至は3つの勢力が争う事はそう珍しいことではない。近年も沖繩では普通にあった。この大体に於いて反逆側が正しい事も多い。見るに見かねて教師陣が経営側の理事を訴えることさえ起きる。昔福岡の新設私立大学で補助金で学校中に設立者の銅像胸像を建てまくった学校があり、文科省から警告を受けた事件があった。随分昔の話だが。近年の日大や東京女子医大の不祥事は目新しいが、こういう事が起きた学校は長期的には信用を失い、没落することがある。
⑥ 学校の財務状況も大事だ。寄付金が多い学校は卒業生総数が多く、なおかつ卒業後も、母校愛が継続している目安である。同時に学校に必要とされる施設、普通にあるもの以外、武道場、テニスコート、スイミングプール、多用途の大きめの体育館、卒業生会館、ゆったりとした食堂、海外研修に学校の補助金が出るのか、等々。このあたりは経営にゆとりがあり、生徒に目を向ける余裕があるのか、経営維持で手一杯なのか判断の基準となり得るのだ。
⑦ 大学現役合格率は信用しないほうが良い。理由は明瞭である。医学科への現役合格率は低い。医学部が難関過ぎる為に、医学部志望者の多い学校は現役合格率は低く出てしまう。同様に上位大学を目指す学校はどうしても現役合格率が低い。逆に妥協して、あるいは学校から現役合格率を上げるために、上位大学を受けにくくさせる進路指導を行っている高校があるのは間違いない。生徒が東京早稲田慶應を志望しても地元の国立大にしなさいという、自称進学校は山ほどある。こういう学校は当然の如く[現役合格率]が高い。埼玉の浦和高校は全国トップクラスの名門だが、現役合格率は必ずしも高くはない。生徒は在学中スポーツや各種部活動に熱中し、その実績は素晴らしい。浪人は多いが、浪人後難関大学に大体は合格する。これは人生の無駄では決してない。
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