東大叡智会

日系ノーベル文学賞作家 KAZUO ISHIGURO

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2023.3.17

KAZUO ISHIGUROは2017年10月のノーベル文学賞を受賞した日系作家だ。作品の全ては英語で書かれている。受賞語のインタビューで「予期せぬニュースで驚いています。日本語を話す日本人の両親のもとで育ったので、両親の目を通して世界を見つめていました。私の一部は日本人なのです。私がこれまで書いてきたテーマがささやかでも、この不確かな時代に少しでも役に立てればいいなと思います」と述べた。筆者が彼を始めて知ったのは。記憶が確かなら東大新聞の記事で紹介された時だ。1989年英国貴族邸の老執事が語り手となった第3作『日の残り』(原題:The Remains of the Day)で英語圏最高の文学賞とされるブッカー賞を35歳の若さで受賞し、その時東大新聞で紹介されたのだと思う。まず両親共が日本人でありながら、作品が英語で書かれている点だ。(日本人でありながら他の言語で作品を書いている作家、或いは外国人でありながら日本語で作品を発表している作家は他にもいるが)私も小さい時から英語日本語二重言語状態なので、何となく親しみが湧いたのだ。おまけに年齢と出生地が近いという偶然もあった。ただこういう方の常として言語や出生の国だけに注目が集まるのは恐らく本人は嫌だろうと思う。たまたま彼の中で其の作品を発表するのに、英語が適していたのだ。彼にとって英語のほうが深く考え易く、感情も説明しやすいという事だろう。影響を受けた作品は必ずしも日本の作家、例えば谷崎潤一郎が最大という訳ではなく、小津安二郎や成瀬巳喜男両映画監督の影響をより受けたと自ら語っている。筆者自身は彼の映画化された作品を見て、再度その作品を日本語と英語で読んでみた。少し英語が読めるようになれば作品を英語で読んで見ることをお勧めしたい。個人的にはThe Remains of the Dayの細やかな感情のやり取りがとても好きだ。

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