2022.2.28
難関校の合格体験記などで見ると受験勉強で使った参考書問題集名を挙げていることが多い。其の際仕上げに使いましたとか、学習初期に使いましたとか書いていることもあるが大体は大雑把に数学や英語の有名本が列挙してあることが多い。私自身は「有名な本は良く書かれており受験に有用だ」ということを否定する考えは全くない。ただ生徒一人一人が「どの時期どの学力の時期に使うのか」の方が参考書問題集を決定するのにより重要な要素であると思う。高1なのか高2なのか偏差値が低い段階で「これからさあ頑張ろうかという時期なのか仕上げの時期なのか」ここが大事だ。例えば数学であれば殆どの合格体験記には青チャート(数研)や一対一の対応(大数東京出版)が挙げられている。書いた本人はちょうど学力が大きく伸びた時期にこれらを使ったので余計に学力が伸びた印象が強くなるという事もあると思う。しかしこれらの所謂「有名本」を使う前に必ず学校で紹介されたり友人に聞いたり自分で見つけた初期段階の本があるはずだ。これらの本は合格体験記でわざわざ書かれてないことが多い。学力がまだ初期段階にあるのにいきなり難易度が高い「有名本」から始めてしまいかえって学力が伸びないということもある。自分の経験を言えば教科書レベルの段階から赤チャートを併用したが学力は伸びす欲求不満が高じていた時期があった。其の時に京大数学で満点を取ることになる友人が意外に簡単な参考書を丁寧に何回も繰り返しているという事実を知り驚いた経験がある。参考書問題種集選びは個人に合った慎重な対応が必要だ。私の教室では時間をかけて本人の適性を見ながら慎重に対応するようにしている。結果教室は参考書問題集の展示室と化しつつある。
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