2022.11.16
私の教室で授業が終わった時の挨拶はいつも同じだ。「早く寝て。夜が遅いと折角勉強した分が無駄になるよ。成長ホルモンが出ない時間に寝たら背が伸びないよ。」だ。多分生徒たちは耳にタコが出来ている。その時こちらの目を見て返事してくれる生徒や何らかの反応がある子はそうしている子だ。反応がない子はきっとアドバイスを聞かず夜遅くまでやって日中はぼーっと過ごし遅い時間から勉強を始めている子かもしれない。試験期間中はまだしも普段から夜型になると数ヶ月で疲労感が出て受験学年だと受験に対する不安感が出る。結果成績低下に直結する。特にここ沖縄は全国で恐らく一番夜型生活の県なのでいつも生徒にしつこく言い続けなければならない。先日教室が休みの日に必須の用事で出かけたら夜の9時前なのに3歳位の子供が沢山ショッピングセンターのフードコートで動き回っていた。この時間から考えてこの子達は恐らく寝るのは22時を回るだろう。3歳にしてすでに就寝時間が10時過ぎなのだ。沖縄では公共テレビを使って「夜遅くに子供を居酒屋に連れて行かない様にしましょう」という冗談のようなキャンペーンをしている。大人の側にそもそも自覚がないのだ。しかし睡眠不足は何もここ沖縄だけの話ではない。日本人は常に睡眠不足なのだ。
OECDの「 Gender Date Portal 2019」によると、先進7か国で最も睡眠時間が短い国は日本であるという結果が公表されています。日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、イギリスの8時間28分、フランスの8時間32分、スペインの8時間36分、アメリカの8時間47分と比較して1時間以上も短い。「OECD時間当たり労働生産性の国際比較」では、日本は主要先進7か国の中で最下位であり、睡眠時間が労働生産性と大きく関連しているのとの見解である。
また米国シガン大学の研究によると、日本人の平均睡眠時間が最も短いことが分かってる。同チームの研究では、スマートフォンアプリ「ENTRAIN」を通じて、世界100カ国の15歳以上の約6000人の就寝時刻や起床時刻を収集して平均睡眠時間を調査した。その結果、日本とシンガポールの平均睡眠時間は7時間24分と最も短く、オランダの8時間12分が最も長いという結果が出ました。 同チームは理由として、国ごとの社会的なプレッシャーによる影響が強く、体内時計の働きが弱まることで就寝が遅くなり、睡眠時間の減少につながると見解を出している。また睡眠時間が最も短い年齢・性別は中年男性で、7~8時間を下回っていました。女性は男性より睡眠時間が長く、全体の平均を約30分上回っていることもわかりました。
HK放送文化研究所の「2015年国民生活時間調査報告書」によると、国民全体の1日の睡眠時間は、平日7時間15分、土曜日7時間42分、日曜8時 間3分で、平日<土曜<日曜の順に長くなっています。性別・年齢層別にみると、睡眠時間が短いのは平日の男性30~50代、女性40代・50代であり、最も短い女性50代は6時間31分でした。
米国で暮らした筆者の見解もこの結果に一致する。彼の地では夜22時を回れば大人もまず寝る準備に入るし連絡事項があれば今日は遅いから明日朝にしようという感覚だ。またあらゆる作業能率テストの結果は夜の作業効率が10時をすぎると急激に落ちることを示している。小学生以下ならもっと早い時間に能率が落ちるはずだ。勉強や作業はは早い時間帯にすべきなのだ。取り掛かりを早くすれば必ず結果=成績向上が見えて来る。
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