2023.7.18
よく雑誌新聞等のメディアでは「芸能人の誰々は帰国子女だから英語が堪能」という話が流れる。筆者にはこれは少し不思議な話に思える。海外の英語圏で英語で授業をする普通校で学べば英語をある程度習得できるのは当然だ。現地のインタナショナルスクールでも同様だろう。日本語で教育する日本人学校でも日常語の英語を習得するのはさほど珍しいことではない。問題はまずどのレベル何年生まで英語で学んだかということである。決して英語を学んだかではない。日常語として英語を話し、教科書を読み、どの位日常生活の中で雑誌や新聞を読んだかという点だ。もし小学校まで英語圏に暮らし、その後中学生から帰国したなら、英語力の維持は少し困難だ。数年のうちにリスニング力は失われ、英語を話す力も遠からず失うだろう。もし中学までなら、勿論この危険性はぐっと低くなる。しかし危険性はある。簡単なリスニングとスピーキングは維持できる可能性が十分ある。高校生ならかなりの割合で大丈夫だ。しかし勿論どの位英語を維持出来るかは帰国後の環境と努力次第である。リスニングは毎日30分程度は何らかの形で続けるべきだ。スピーキングは継続が難しいかもしれない。最近は発展途上国の低賃金を利用したオンライン英語が盛んだ。例えばフィリピンのオンライン英語はかなり時間単価が安い。問題は教師の質だ。正直良心的にある程度の賃金をきんと払って、質の良い教師(英語がnative speakerに近いレベルの)を確保している会社は少ない。一度よく英語の出来る方に見て貰い選ぶのが良いだろう。その際、大事なのは日本語が通じない先生を選ぶことだ。当然日本語ができる教師とは日本語で話すようになる。間違っても本人も周囲も英語が簡単に自然に努力なしに維持できると思わないことが大事だ。
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