2024.11.7
歴史家の加来耕三氏は徳川家康の天下統一の成功と徳川氏が250年以上政権を維持できたのは、家康の優れた特質「反省力」「学ぶ力」の賜物であると述べている。「学ぶ」は「まねぶ」が語源だろうから、学びは全て真似るから来ていることがわかる。氏は多くの著書の中で、家康は信長の「進取性」「構想力」「斬新さ」のどれも家康には乏しかったと説く。秀吉の「コミュニケーションスキル」も家康にはなかった。祖父も父も部下とのコミュニケーションスキルに乏しく20代で亡くなっている。考えられる家康の成功の原因は前者2つに違いない。
「真似る力」に反して、反省力」は自分で学びながら「どうも上手くいかないなあ」というのが原点である。日々の自分自身の失敗から学ぶというのが原点に違いない。今日は能率が悪かった。今日は集中力に欠けていた。等々誰でも沢山反省点があるに違いない。いつまでもそこに気づかない儘なのは受験生としては大きな欠陥となる。或いは合格体験記等の失敗から学ぶことも出来る。そこではより成功の話が多いかもしれないが、率直に失敗も書いてくれている体験記は読むに値する。
この2つは受験生が「学ぶ」上で本当に大事なことだ。沢山失敗して沢山反省すること。素直に優れた人のやり方を真似てみること。その方法が自分に合わなければ、方法をアレンジして工夫すればよいのだ。本格的な受験シーズンを迎える夏休み前であれば、沢山失敗して沢山反省し、人のモノマネをする時間は豊富にある。いや直前でも「反省して真似る」は受験最強のスキルである。
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