2024.12.2
中学受験参考書塾技国語はよく出来た国語参考書だ。教科別に言えば国語、とりわけ現代国語は最も参考書が書きにくい科目だ。そもそも日本人の意識の中では日本語は最近まで、日本人だけが話し,聞き、読み、そして書く言語であった。英語のように世界に意図的に英国米国の進出に伴って英語をを拡げ普及させようとする意図は、はなから全く無かったのだ。高度経済成長期を経てビジネスの手段として取引先が日本語を覚えだして始めて意外に海外に普及するものだな。というのが古い世代の実感だろう。こういう日本語であれば、例えば文法を教える場合、あの退屈な活用くらいしか書きようがないのだ。受験用の小論文対策書を見れば、種類こそ豊富だが、大人が読んで良く出来ているなというのは正直極めて少ない。ビジネス用の日本語学習書の方が、余程優れていたりするのだ。同様に中学受験高校受験大学受験の現代国語の参考書には他の教科のような定本がないのだ。その中で塾技国語はよく出来ていると筆者は考えている。以下がその理由である。
① 今までの国語参考書の大半は入試問題を出して、その問題毎に解答解説を加えるものであった。塾技国語は著書の一貫した現代国語に対する考え,解法を述べるために過去問を利用している。どちらが優先かは著者の見識が問われる問題だ。
②問題が少なく、本文を理解熟読吟味することに中心が置かれている。一見問題数が少ないと実力が養えないようであるが、実は逆である。
真の文章理解には優れた少量の良問が一題あればよいのだ。
③この本は問題を解く事に必ずしも主眼をおいていない。恐らくは本文を読むことで一定の視点を育てることに主眼をおいている、この事は一見能率が悪そうだが、実は国語が得意になる大事な方法である。
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