2025.6.10
マングースは沖縄や奄美の貴重な動物に多大な被害を与え、いまやその絶滅にかなりな予算を地元と国は出費している。しばらく前に奄美では沖縄に先ん環境省は奄美大島(712km平方)におけるフイリマングース(マングース)の根絶を宣言しました。1979年にハブ対策として持ち込まれ、その後生態系に悪影響を与えたマングースの駆除は、世界的にも画期的な成功例として注目されている。2024年9月3日奄美のマングースは絶滅宣言がなされた。
ではなぜ在来種でないマングースが沖縄と奄美に持ち込まれたのか? ネズミは、当時の島民にとって重要な収入源であるサトウキビに大きな被害をもたらし、そしてそのネズミを餌として畑に侵入してくるハブは、農作業をする島民の命を奪うおそろしい動物であった。(今でも、もちろん咬まれれば命に関わるが、医療機関の発達により、その被害は軽減)。これらの有害な動物を駆除するための天敵として、マングースに目を付け、島に導入することを提案したのは、当時、動物学の権威であった東京大学・渡瀬庄三郎名誉教授(1862-1929)であった。
教授がインドに出張に行った際に、街でコブラ対マングースの対決ショーを見る機会があり、毒ヘビ・コブラを勇猛果敢に倒すマングースの姿に感激して、マングースの沖縄への導入を思いつき、船便で運んだ、という逸話が語り継がれています。対決ショーに感動してとった行動か否か、その真実は定かではありませんが、ひとりの研究者の発案によって、この外来動物は沖縄に持ち込まれたのだ マングースが沖縄島に到着したときには、当時の地元紙でも記事となり、「期待の星(ホープ)来る!」と大々的に宣伝されました。特にハブ退治の決め手として、島民達の間ではマングースは救世主扱いされた。わずか16~17匹ほどの導入個体は、沖縄島でみるみるうちにその数を増やし、生息数は最高3万匹に達したと推定されている。1970年代までマングース神話は続き、79年には沖縄島から奄美大島にも本種が導入された。ここではマングースは貴重なアマミノクロウサギを捕食した。
これだけの期間と大きな予算を使って沖縄と奄美にハブ対策の為に導入されたマングースが大きな被害をもたらすと誰が予想し得ただろうか?当時の知識では理解できない範囲のことであったのかもしれない。人は自然を相手にしたときには謙虚で賢くあらねばならない好例であろう。
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