2025.5.20
ここでは大学受験の英単語集を各々評価してみたい。評価の視点は網羅性、説明の上手さ、内容の新しさ等々である。以下は順位ではない。
①システム単語 恐らく全国の進学校で最も多く使われていると思われる。駿台の霜講師と刀根講師の黄金コンビの労作であり、入試のツボが絞ってあり、網羅性は劣るかもしれないが、単語数が少なめで、多義語に力を入れている点は東大向けである。筆者には少しだけ物足りない点もあるので、独自に書き足して指導用に使っている。物足りないとは言っても英語指導者でない限り一般受験生が気づくことはないであろう。素晴らしい点は例文が生きた英語であり、暗唱に向いている点である。一つ気をつけたいのは中学レベルの基礎語で必ず落ちているのがあるので、どれを使ってもそこは配慮が必要である。
②ターゲット 恐らく全国の自称進学校で最も多く配布されているか、指定されている英単語集である。少なくとも地元沖縄では多くの高校生が、名前を知っている唯一の英単語集と言って良いかもしれない。筆者の教室に面談に来る高校生に見せると必ず反応があるのが興味深い。1400の単語数と1900のものがよく使われている。大昔の「コンピューター分析 大学入試英単語」の系譜を組んでいるので能率は悪くない。多義語に対する対応が足りないのと、例文が長すぎて暗唱しにくいのが欠点だが、恐らく編者は暗唱用としてではなく。読ませる目的で例文を挙げているのであろう。地方国公立には悪くはないと思う。
③ユメタン 灘中高ノキムタツ先生の労作である。あるレベル以下は思い切って切り捨てている。東大京大レベルはよく出来ている。段階別に使えば、極めて有効であろう。間違ってもいきなり③東大京大レベルから始めてはいけない。①や②をまずはしっかりやって欲しい。例文も暗唱用でよく出来ている。筆者は中の赤字印刷の部分が苦手だが、これは余計な偏見である。
④合格英単語600 編者は東大生が集まった受験情報研究会とある。単語はわずか600つまり、東大入試の核となる部分のみ説明されている。ある意味他の単語集を終えた時点で、落ちている単語がないか確認するには向いている。また基礎がしっかり、出来ていてこれから入試の核となる単語を数少なく学びたい、短期間で学びたいと思う場合に最適である。熟語集も同じ考えで作られている。
⑤鉄緑会東大英単語熟語(通称鉄壁) 評価の難しい本だが、多くの受験生が保険をかけるみたいな気持ちで購入するのかと思う。何しろ単語数が多い。見出しだけで3100語とある。まずはほんの厚さに圧倒され、古本屋でも値段があまり下がらない。しかし肝心な東大受験生の中にも少なからずアンチが存在する。間違いないのは中堅大学以下の志望者が手を出せば火傷するのが間違いないことだ。
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