2025.12.2
元運動部の筆者にとって文武両道の人は心から敬意を表する気持ちが強い。筆者のブログでは文武両道高校を度々取り上げている。その気持と同様に文理両道の人も心から尊敬している。
何人かを例に上げて述べたい。学校や受験で言えば、国語に通じ、古典文学から現代文学までに幅広い興味を持ち、反面物理や科学全般、数学にも通暁している人たちである。
1森鴎外 秀才である。何歳も年齢を誤魔化して早く東大医学部を卒業している。反面幅広く西洋文学を日本に紹介し、多くの文学上の優れた人材を世に送った。宮沢賢治や、樋口一葉の才能を早くから見抜いたまさに慧眼の人でもある。
2加藤周一 同じく東大医学部卒の秀才である。筆者は彼の著作はほとんど読んだ。人と社会、歴史文学を見る視点を与えてくれた人である。講演会でお話を聞く機会があり、文学に対する情熱が素晴らしい。
3宮沢賢治 専門は農芸化学であり盛岡農学校(現在の岩手大学農学部)で教師を務めた。死ぬ迄、心は東北の農民と共に在った。
4安部公房 東大医学部出身だが、文学に集中するあまり、成績が基準に足りず、医師として活動しない約束の基に医学部を卒業している。もとより彼にその気はなく文学で大成。あと数年生きたら多くの人が述べたように、ノーベル文学賞は確実であったろう。
5手塚治虫 大阪大学医学部卒の歴史に残る漫画家。漫画家としては皆様のほうが詳しいはずなのでここでは省きたい。医学部生のときに教授から「君は医師には向いていない。漫画家で生きていきなさい」と励まされている。死後の手塚治虫展では医師免許証が展示された。
6坂井修一 現代歌人協会の第8代理事長に就任した坂井修一氏はコンピュター、AIの最先端研究者である。AIでも斎藤茂吉の最初の一句は作れないという言葉はけだし名言であろう。
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