2025.12.10
日本国内で進学する中学高校を選び場合一般的かつ最も無難な方法は、生徒の学力に合わせて適切な難易度、つまり偏差値で選ぶ方法である。ではそれのみで選ぶだけでよいのか、または他に基準はないかと言われたら、叡智会では幾つかの基準を示す事にしている。以下に列挙してみたい。
① 生徒が時間的余裕を持って通える事は大変重要な選択の基準だ。特に1日中交通渋滞が続く沖縄では欠かせない基準である。通学15分特別クラスありの偏差値50の学校を選ぶのか、片道通学50分の偏差値55の学校を選ぶのかと聞かれれば、少なくとも筆者は前者をお勧めする。通学に往復2時間使っては、通常の中学高校生活は難しい。通常とは部活動や友人、先生と放課後話す時間である。帰宅が20時なんてことになれば、そこから食事、予習復習2時間を経て就寝が11時以降になりやすい。この上に塾通いでは生徒の疲労度は生半可でない。勉強が継続しなければ効果は薄い。線香花火的。瞬間集中的勉強では難関高校大学合格は相当に厳しい。
② 学校のパンフレットを何回も熟読することである。文面に文武両道をうたいながら、全く運動部も文化部も活躍していない学校は看板倒れであるだろう。活躍というからには九州大会、関東大会など地区大会は必須であろう。
③教師の質は国語科、英語科の先生で判断しやす。少し前に進学先の相談を受けた方の高校ホムページを見たが、筆者の目を引いたのは入学前に読んでおくべき本の一覧であった。素晴らしい本の羅列であった。自ら読んで判断された内容が素晴らしかったのだ。国語科の教師陣のレベルが素晴らしかった。日本では平均して数学理科の教師の質は諸外国に比べて高い。反対に英語社会科の教師の質は低い。良い国語の先生は自身も読書家で生徒に良書を紹介してくれるものだ。灘高伝説の橋本武先生の様な教師に教えてもらえる生徒は幸せだ。学校の推薦図書は学校の質を見極める一つの指標たりうるのだ。
④入試問題で判断する。まさに裏技である。あなたの周りに練達の師、学校であれ、塾の先生であれ、いれば判断して貰える。入試問題は特に私立であれば、どの位作成した教師陣が生徒を大事に考えて選抜しているかを示す、まさに指標である。疑われる方は東大の入試問題を見られたし。年間をかけて作られた教師陣と受験生のそこはまさに対決の場である。入試問題の質はまさにその学校の教師の質そのものである。単に問題の難易度が高いということではなく、何の位基礎という教材を基に、工夫し、その学校が必要としている学生を選ぶかである。
⑤ 学校の始業、就業時間は大事だ。文武両道をうたう、静岡高校や土佐高校は授業時間の工夫が素晴らしい。終業が遅ければ就寝時間が遅くなり、運動部も文化部も活動できず、生徒に負担がかかる。やたらとホームルームの時間が長い学校にも注意が必要だ。
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