2022.4.12
2021年早稲田大学の看板学部である政経学部は田中総長(早稲田出身だが米国大学院で学ぶ。)斎藤学部長の元で学内の反対を押し切って大胆な(少なくとも早稲田にとっては)入試改革を行った。長年英語国語2教科必須数学または社会から選択という入試教科だったのを数学1Aを必須教科としたのだ。これによって私立文系英語国語社会で受験していた多くの受験生層を失う事になった。斎藤学部長によれば従来政経学部の経済学科では約50%が政治学科では約20%が国際政治経済学科ではその中間くらいの割合で数学で受験していたらしい。特に政治学科では受験層が一変したことあろう。政治学でもコンピューターによる色々な現象の解析が進んでいることからその基礎となる統計学を始めとする数学全般の知識は必須となっている。私の教室では従来私立文系志望であっても極力数学受験を勧めてきた。要は合格しやすいからである。一般に私大入試の社会は差をつけるために細かい知識が出題されやすい。日本史で言えば種子島に鉄砲が伝来したときにその銃の数を問う問題が出されるという笑えないジョークがある位だ。それに比べて数学は1Aと範囲が狭く問題も基礎的なものが多い。数学選択は時間節約にもお得なのだ。その分を英語に回すことが出来る。大学では英語の論文が読めなければならない。この改革で早稲田政経は30%位受験生が減ったが質は上がったらしい。東大京大の第2志望と化す心配も有っただろうがどうやらその心配もない様子だ。同時に学部内改革も進みかなりの講座を日英両語で学べるらしい。教員も海外から積極的に採用している。入試1教科の変更を端緒として始まった改革はやがて大きな果実を早稲田にもたらすだろう。
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