同年同月に生まれた二人の運命

2022.7.26

二人の誕生日は4日しか違わないが世界への影響と死後の評価は天と地ほどは違っているだろう。

一人は　1989年4月16日英国に生まれた。子供時代は貧困と苦難に満ちており、救貧院に何度も収容される生活を送った。両親は貧しく父親はアルコール中毒で30代で亡くなっている。母親も貧しく彼を育てることがしばしば出来なかった。恐らく時々は食べ物にさえ困ったことだろう。唯一の才能は恐らく母親から貰った、人を楽しませる芸能の才能である。後年彼は映画界で大成功し筆者が20代の頃クリスマスに亡くなった。無くなる前には第一回アカデミー賞特別賞を受賞した。晩年はスイスに住み大変な親日家であり秘書以下使用人全員が日本人ということも有ったそうだ。数回来日している。筆者の友人が熱心なこの偉大な映画人のファンであり「クリスマスに亡くなるなんて此の人らしいね。」と話していたのを思い出す。其の映画の作風は愛と悲しみを含んだユーモアであり時代を超えて普遍性があり、時代を超えて永遠に称賛され愛されるに違いない。

もう一人は1989年4月20日オーストリアに生まれる。伝記により貧しい家庭の子供と書かれているが全く事実から離れている。父親は学問こそなかったが勤勉に働き下級公務員から高級公務員へと出世している。多くの異母弟がいるので家庭的平和に恵まれているとは言い難いかも知れないが、少なくとも経済的に苦労は全くなかったはずだ。。小学校を終えるあたりから父親との折り合いが悪くなり、恐らく原因は彼の怠け癖であり、中等教育を終えることが出来ず中退した。その後画家を夢見て大都市ウィーンへと移住した。此の時代も父親からの遺産や年金で十分暮らすことが出来たのでむしろ豊かな位だった。自作の絵葉書を売ったりして画家風のそれなりの収入を確保していた。因みに絵を売る際にはユダヤ系の人々との交流が有ったようだ。このあたりを過ぎると政治的に過激な人達との交流が始まり、彼自身の書いた本によれば知識を沢山色々な分野で蓄えた時期である。しかし其の知識は極端に偏ったものだった。絵描き修業時代にはユダヤ人にお世話になった彼が後年あれほどユダヤ人を憎んだのは理解しがたい。最後はドイツ敗戦を目の前にしてベルリンの地下壕で自ら頭を拳銃で打抜き自殺した。

もうこの記事を読んで頂いてる方には二人が分かったに違いない。前者は Charles Spencer Chaplin, （1989年4月16日- 1977年12月25日）であり後者はAdolf Hitler  （1989年4月20日- 1945年4月30日）だ。前者は人を愛することを讃え、後者は人を憎むことを説いた。