2026.4.5
今年度から私立高校の学費の大部分が無償化され、大きな流れとして公立から大学進学に思い切った対策が取りやすい(大学進学に特化した)私立高校、とりわけ中高一貫校に優秀な中学生が集中する事態が必須であろう。筆者はこの事自体は、残念ながら時代の流れであり、致し方ないと思う反面,100年以上の歴史を誇る地方の名門高の文化が無くなるのは残念だという思いが強い。そこで地方の独自の文化を持つ歴史ある名門校を紹介したいと思う。第一回は長野県の名門松本深志を取り上げる。そもそも長野県は日本一と言っても過言ではない教育県である。筆者の友人にも少なくない長野出身の友人がいる。長野県にはそもそもお隣群馬と違い、公営ギャンブルが全く存在しない。そんな暇があれば本を読むお国柄である。現在の総合学習の期限は信州の自由主義教育であると言われる。長野の面積は13560㎡、北海道、岩手等に続き上位5位以内に位置する大きな県である。県内は4つの地域に分かれる。即ち北信(長野市周辺)中信(松本市中心、信州大学がある)東信(上田市、小諸市,佐久市。軽井沢がある)南信(飯田市、諏訪市がある)である。松本深志高校があるのは中信地方の松本市である。国立信州大学は主なキャンパスを松本市においている。この事は松本市民の誇りとなっている。
松本深志高校は創立1876年、140年の歴史を誇る長野県下随一の名門高校である。随分昔だが、深志高から奈良女子大学へ進んだ優秀な友人がいた懐かしい学校である。「自治」の精神から公立としては珍しい制服がない学校である。また「高」の字にトンボが止まるユニークな校章でも知られている。
蒼溟(そうめい)遠き波の涯(はて) 左は有名な校歌の第一番の詞である。メロデイが素晴らしい美しい校歌であり、歴史の重みを感じる校歌である。
黒潮たぎる絶東(ぜっとう)に メロデイはyou tubeで聞くことが出来る。明治時代、新興国家日本の教育にかける意気込みが感じられる校歌である。
たてり大和の秋津洲(あきつしま) 松本深志の同窓会は社会で活躍する素晴らしい先輩が数え切れないほど存在する高校だ。ジャーナリスト池上彰氏は松本
光栄(はえ)の歴史は三千年 市生まれの為、松本深志高校出身と思われている。実際は都立大泉高校出身である。
そのうるはしき名を負へる
蜻蛉男児(あきつをのこ)に栄えあれ
1960年(昭和35年)から19072年(昭和47年)まで、「クロ」という犬が住み着いていた。クロは、職員会議に出席し、授業の見回りをし、そして、夜間の警備の巡回についてまわっていた。当時の職員名簿にクロの名前も記載されたという。この話は後に映画化されている。学校の校舎自体が文化財となっている。ゴシック調の美しい校舎である。近年名門松本深志も私立高に押され昔ほどの進学実績を残していない。こういう学校は進学実績が全てではないであろうが、やはり昔の人間にとっては少し寂しい感は否めない。1980年代は東大に20名、2010年前後までも10名前後は合格者がいたはずだが、近年は数名となっている。近隣や、県内の私立中高一貫校に優秀な生徒が流れるのであろうか?残念な事だ。東大理系志望者が医学部進学に流れる傾向もあるのだろうが。地方高校の雄として、松本深志の復活を心から願う。
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