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ジェームスワトソン氏亡くなる DNA pioneer James Watson dies at 97

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2025.11.10

かの有名な「DNA二重らせん」の共同提唱者である。氏は1928年、シカゴ生まれ。英ケンブリッジ大学で故フランシス・クリック博士とともに研究し、DNAがらせん階段のような2本の鎖がより合わさった構造であることを発見し、53年に論文で発表。20世紀の生物学における最大の成果と言われ、62年にはノーベル生理学・医学賞を受けた。この事は今や生物学の歴史の一部と言えよう。氏がノーベル賞受賞の年は多くの現役の生物、医学分野の大半の人間は生まれてさえいないであろう。今や大学受験は愚か中学受験を受ける小学生の学力上位層でこれを知っている子も多いはずだ。

 80年代からヒトの全遺伝情報(ゲノム)を解読する国際プロジェクト「ヒトゲノム計画」でも中心的な役割を担い、二重らせん構造発見から50年後の2003年に解読が完了した。89年から92年まで米国立ヒトゲノム研究センターの初代所長を務め名声は世界的になった。

氏は2007年頃から「黒人は人種的に劣っている」という発言を繰り返し、科学者たちから疎んじされる人になってしまい、その地位や名声は地に落ちた。今でもある意味この発言の真意は不明である。一連の人種差別発言により、氏は経済的にも困窮し、ノーベル賞のメダルを競売に懸けるという羽目になってしました。因みにこのメダルはロシア人富豪に475万7000ドル(当時のレートで日本円約5億4700万円)で落札された。存命のノーベル賞受賞者のメダルが競売されたのは、史上初めてとなる、因みにノーベル賞共同受賞者であるクリック博士のメダルも売りに出されるという因縁あるメダルである。

「二重らせん」構造の解析についてもロザリンド、フランクリンの業績を盗用したという噂がある。フランクリンが早逝したために真偽の確定は難しいが、ワトソン博士は彼女を貶める発言をしている。歴史的解明が為されるのが望ましいだろう。しかしワトソン博士が生物医学界に貢献したのは間違いない。冥福を祈りたい。

 

 

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