2026.3.23
ここではトランプ氏の政策の良し悪しを論じようとは、敢えてしない。ただ100年ほど前に、トランプ氏と少し似ている人がいた事を書いてみたい。その人はダイ代大統領アンドリュー・ジャクソン(Andrew Jackson, 1767年3月15日 - 1845年6月8日である。
米英戦争における活躍をきっかけに大統領になり、任期中の強権ぶりから「アンドリュー1世」とも揶揄されたほどであった。アメリカ独立戦争と南北戦争の間、その時代は「エイジ・オブ・ジャクソン」「ジャクソン・エラ」としばしば呼ばれた。米国の独立戦争に参加した最後の大統領である。
史上唯一、議会から不信任決議をされた大統領であり、またアメリカ大統領史上初めて暗殺の標的になった(未遂)。また法律及び政治上の経歴以外に、ジャクソンは奴隷主(最大事は300名の奴隷を所有)、農園主および商人として成功した。彼は暗殺(未遂に終わったが)にあった最初の大統領である。トランプ大統領も暗殺未遂のめ目に遭っている。彼は強固な人種差別主義者であった。以下は一般教書(議会での大統領の施政方針演説)の中で以下のように述べた。
「インディアン問題に関する私の確信はもはや揺るぎない。インディアン部族がわれわれの定住地に囲まれ、我々の市民と接触して共存するなど不可能だ。
やつらには知性も勤勉さも道義的習慣さえない。やつらには我々が望む方向へ変わろうという向上心すらないのだ。我々優秀な市民に囲まれていながら、なぜ自分たちが劣っているのか知ろうともせず、わきまえようともしないやつらは環境の力の前にやがて消滅しなければならないのは自然の理だ。
これまでのインディアンの運命がそうだったように、インディアンたちが消滅しなければならない事態が避けられない場合、彼らは我々白人の領土の外へ出ていくことが必要だ。その場合、我々が求める新しい関係に沿った政治体制を彼らが受け入れた場合のみ、これは可能となるのだ。」
ジャクソンは保留地(Reservation)をはじめとする強制移住政策を推し進めた。ジャクソンが定めたインディアン強制移住法は、インディアンから強制的に土地を収奪するもので、この法律によってインディアンの多くは大陸西部へと追いやられた。
一般にジャクソンは東部的知性の逆を行った,西部南部の「叩き上げ」大統領と言われる。上品ではないかもしれ無いが、実のある人ではあったと言えよう。何より彼は「真の愛妻家」であった。夫人のレイチェル・ジャクソンは彼の大統領就任式の直前に、亡くなったが、公式記録にはファーストレデイとして残っている。彼女とのロマンスはアメリカで最も有名なロマンスの一つとして語り継がれている。
歴史上ジャクソン大統領は必ずしも優れたリーダーとはみなされてはいないのだ。しかし一人の人間として見た場合、トランプ氏とはいささか、違っているのではないだろううか。populist (ポピュリスト、大衆迎合政治家。純粋な大衆対腐敗したエリート層を看板とする)として完全に一括りにするには、もったいない要素がある。
© 2021 東大叡智会.