2024.2.9
米国の小中高校は一般的に、数学のレベルがかなり日本の(東アジアのそして世界の)数学に比べて低いのは確かだ。この情報はまた米国で学んだ、特にごく普通の公立校で学んだ人達に依って半ば常識化したものであり、その人達に依って、しばしば誇張して語られ、実態以上に大袈裟に受け取られている。実際はどうなのだろうか?どの程度米国の学校数学は遅れているのだろうか?米国では一部のエリート校、将来難関大学を目指したり、飛び級を目指したり、超エリート校である各士官学校(大学に相当多くの大統領を輩出)を目指したりする人達は全く違う教育を受ける。そこでどのくらい違うのか、最も差が出やすい米国公立校と日本の平均的公立校を比較してみよう。ここでは米国の各項目の導入は九九で言えば3〰5となっているが、要するに小学校5年で漸く九九が習い終えると考えてよい。三角比で言えば高一で漸く30度、45度、90度の特殊角の比が教材に登場するのだ。微積分は通常の高校では習わない。米国全体で10%以下のエリート校でのみ履修可能だ。誤解してはいけないのは一部の高校ではアドバンスト プレイスメント (AP) コースや国際バカロレア (IB) プログラムを提供していること(こちらは日本並だ)と州によりかなり内容が違うことだ。州ごとの学力の違いはまた別の機会に書いてみたい。米国の数学のレベルが低いのは,①移民が多く米国人に成る為にはまずリテラシー即ち英語の習得に力を注がなければならないこと②所得格差が大きく難関校=エリート校=学費が高いという図式があり、③通常の公立では教師のレベルが十分でないことなどだろう。
表1 算数・数学の内容の導入学年
日本(現行) | 日本(新) | 中国 | イングランド | 韓国 | アメリカ | |
1.掛け算九九 | 小2 | 小2 | 小2 | L4 | 小2 | 3~5 |
2.分数 | 小4 | 小3 | 小3 | L4 | 小3 | 3~5 |
3.二次方程式の解の公式 | 高1 | 中3 | 中 | GCE-A | 中3 | 9~12 |
4.三平方の定理 | 中3 | 中3 | 中 | L7 | 中3 | 6~8 |
5.三角関数(三角比) | 高1 | - | 高 | GCE-A | 高1 | 9~12 |
6.微積分 | 高2 | - | 高 | GCE-A | 高2 | 9~12 |
1)日本の教科書は、期待されていることが、教師や生徒が見た目で分かるようにかなり構造化されている。
2)フランスと日本の教科書だけが、明らかに証明を教えようとしている。
3)フランス、日本、スペインは、1つの数学内容当たりの頁数の割合が高い。
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