2024.2.28
2,024年11月には米国大統領選挙が行われる。現在民主党(現大統領バイデンの党)と共和党それぞれが党の大統領候補を選ぶ段階だ。民主党側は通常2期目にかかる大統領の場合特殊な事情がなければ、そのまま候補となる。問題は共和党側だ。現在は女性のヘイリー候補と前大統領のトランプ氏が争っている状態だ。現在の共和党はほとんどトランプ氏の個人党と化してしまっているので、ヘイリー氏は極めて劣勢である。2月28日迄にアイオワ、ニューハンプシャー。ネバダ、サウスカロライナ(ヘイリー氏の地元)が終了し、ミシガンは開票中だ。1215名の氏名獲得ラインに向かってトランプ氏110人、ヘイリー氏20名となっている。ヘイリー氏はかつて知事を務めた地元サウスカロライナ州でも勝てないという劣勢だ。マスコミはいつ彼女が予備選挙から撤退すのかと予想さえしている。事実他の候補は既に全員撤退済みだ。米国選挙は企業、各種団体、個人の寄付で成り立つので、資金が枯渇すれば即ち選挙から撤退しなければならない。(テレビでの宣伝も出来ない)この常識からすればへ‐リー氏の撤退は時間の問題だが、本人は強く撤退を否定している。トランプ氏側はわざわざ彼女がインド系なのを攻撃材料として、名前のfirst name ニムラータで呼んでインド系の彼女に差別感情むき出しである。ここらあたり常識が通じないトランプワールドではある。撤退しない場合、普通は2つの考えがある。①最後まで選挙戦を頑張って副大統領候補にしてもらう。②何らかの逆転要素がある。①は彼女自信が否定しているので、現段階では恐らくないだろう。となれば恐らく②の可能性に懸けているのだ。選挙民の多くがバイデン対トランプの大統領選を望んでいないのはどうやら確かのようだ。ほぼ80代の候補と既に80代の候補の大統領選は歴史的に見ても異常な戦いだ。ヘイリー氏はここに懸けているのだ。トランプ氏の政策、人となりは伝統的保守の共和党の価値観と大きく違っている。共和党の保守政策は家庭を大事に、道徳重視の保守的キリスト教の価値観を反映している。家庭的に破天荒なトランプ氏には家庭的道徳は存在しない。(学生時代女子禁制の学生寮に女子を入れて騒ぎ退学となった)トランプ氏の生き方はこの保守的価値観と大きなズレがある。このズレを嫌がる伝統的保守派は必ずしも親トランプではない。数十年後にはあの時自分たちはなぜトランプ氏を支持したのかと、自問自答後悔する人も多いだろう。この点1950-1960年代のマッカーシー旋風を思い起こさせる。なぜ人々はあの時全てを無理矢理に社会主義思想に結びつけて、民主的な価値観を忘れたのだろうか?人はなぜ同じ過ちを繰り返すのだろうか?ヘイリー氏は普通に保守な良識派である。そこでは普通な会話が通じ、価値観こそ違え民主主義を尊重すること、我々と些かも違わない。しかし現下の状況は彼女には絶対的に不利なのは間違いない。
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